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奥山愛菜 Okuyama Mana
他者を意識した時、そこには必ず自己と他者の間に媒体がいる。彼らは、家族や友人、動植物 やモノと私とをつなぐ。時として、時代や空間をも超えて。日常のふとした動きも表情も思いも、 きっと誰かから受け継がれ染みついたものだろう。
私は、大学入学と同時に詩吟を始めた。詩吟とは漢詩を節に合わせて吟じる伝統芸道である。 目には見えない“音”という媒体が築く世界の伝統は、淡くおぼろげで、だから、放った瞬間ほどけ ていく他者の音を必死になって書き留める。そうしてできた波のようなメモ書きを頼りに、私は声 を発する。潔く、はっきりと。そんな“音”の媒体が築く世界を表現したい。
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